留南奇



藤の花を見るたびにおもいだす そう云ってくれた
その藤の花も あとかたなく散ってしまった
いまはもう 格子に組まれた棚があるばかり
はじめからなにもなかったかのように

  それでも
  おもひだしてくれるでせうか

なにもないところにも
かつて花が咲いていたのかもしれない
いつか花が咲くのかもしれない

  おもひでは 留南奇のかをり
  たきこめられて かそけくにほふ




0コメント

  • 1000 / 1000