空谷の跫音



鏡越しの水仙が嗤う
神隠しに遭った友人の ゆくえを尋ねてみたところで

よごれはじめた神無月に なつかしい鈴の
音信れは天狗のいたずらだったのか

みちしるべを奪うウイルスが蔓延しても──

待ちつづけている
東雲を 月白を
結ぶ等号を

もういちど 手をつないだなら
こんどこそは 造花ではない花束を




0コメント

  • 1000 / 1000