夢の病



あじさい色の薬局には
やまない雨がよくにあう

ひるまでも幽霊みたいな灯りがともっているから
まちがえた調合のにおいがする

出窓ではぜんまい仕掛けの侏儒が踊って
ちいさな世界を音楽にしている

雨とともだちになれるレインコートを着て
オーロラをみれなかった旅人が
人形ばかりを診察することにつかれた医者の処方箋をたよりに
だれもしらないなまえを呼ばれるのを待っている

月の石をくだいた粉薬
初恋味のシロップ
絵具みたいな軟膏
錠剤はもんしろちょうに化けてにげてしまった

夢のような 夢のような
薬の効く 病がほしい




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