我鬼句選



俳句にも造詣の深かった芥川龍之介。俳号を我鬼といい、生涯に千句以上遺した。素朴でしみじみとした叙情を感じさせられる秀句が多いが、惹かれた句を選んでみた。選ぶことには、自らの感性が顕れる気がする。




頓服の新薬白し今朝の秋


世の中は箱に入れたり傀儡師


この頃や戯作三昧花曇り


もの言はぬ研師の業や梅雨入空


宵闇や殺せども来る灯取虫


短夜や仙桃偸む計りごと


金身の仏おがまん合歓の花


道ばたの墓なつかしや冬の梅


かひもなき眠り薬や夜半の冬




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